―後日、朝


曇り、時々雨。

雨が散らついては止む。
その繰り返しで。

雨は止むのに太陽は
雲に隠れて、姿を見せず

教室に取り付けられた
人口的な光が
あたしの瞳に光を運ぶ。


頬をつき
窓の外を見つめる。

ポツポツと窓ガラスにつく小さな雨粒の流れを、そっと指先でなぞった。

なぞっては、思い出す。

キリの頬を伝う涙が
忘れられない―



「明石さん。」

フルーツの甘い香り。
優しくて高い声があたしの名前を呼ぶ。

「…はい?」

「一組の原君が呼んでるよ。」

クラスメイトの
…確か池田さんが、あたしに話しかける。

目を細めて笑う顔が印象的な
可愛いくて、人がいい人。

「ありがとう。」

いいよ、と
池田さんは愛想の良い笑顔を見せて
自分の席へと着いた。

ドアに目を移す。


「…里央。」

小さく呟いて
あたしは席をたった。