難しい恋は遠慮させてください

「なんかどこをどうつかめばいいのかわからないな…」

私がとりあえず腕に力を入れようとした瞬間、先輩が歩きだした。

「やっぱ俺一人で持っていくからいいよっ」

なぜか早足で先輩は私を置いていった。

一応あとをついていくと楽器庫の扉の前で先輩が立ち止まっていた。

「無理なら私が運んだのに…」

「ち、違っ………ドア狭くて…」

先輩は恥ずかしそうにうつむいてしまった。

本当に子供みたいな人だな。

どっちが先輩かわかんないよ

私がまたクスクスと笑っていると先輩が「何で笑ってんの?」と恥ずかしそうに言った。

私は笑いを堪えて楽器庫の扉を大きくあけてあげた。

「リオ?」

後ろから声がして私が振り替えると、唯一同じ中学校からきた結菜ちゃんがいた。

「結菜ちゃん!」

「こんなところで一人で何やってんの?」

「一人じゃないよ?」

私は楽器庫の扉の向こうを指差した。

ちょうどドラムをおいた先輩が出てくるところで、先輩は結菜ちゃんを見ると少し驚いたような気まずそうな複雑な表情になった。

「こ……こんにちわ」

「ど、どうも……」

ぎこちない二人をみていたら、結菜ちゃんが私に話し掛けてきた。

「ずっと二人っきりだったの?」