部活の時間がやってくる。

私はドラムの準備を終えると自分の音だしの時間をチェックした。

私の部活はいくつかのバンドが順番に音だしをすることになっている。

順番を待つ間は音楽室にあるサイレントを使う。

でもサイレントも一つしかないから、それも順番待ち。

サイレントがやれない時は自主練習で、アンプを使ったりしないで練習をする。

私の時間は三番目の五時十分から。

サイレントは二番目の四時四十分。

今は四時ジャスト。

暇だしこの教室にいたら邪魔になるから音楽室に行くことにした。

音楽室には深川と伊島先輩と石川がいた。

深川と石川は同じバンドだし、伊島先輩は一年とバンドを組んでる。

そして今は三年オール女子バンドが音だしをしている。

私はとりあえず近くの席に座ってみんなの動きを見ていた。

伊島先輩がチラチラとこっちを見ている。

手には二組のスティック。

きっと私にかすといったものだろう。

私はそれに気付いたけど言わなかった。

男嫌いの私はできるだけ、男子から離れていたかったから。

その後も先輩はチラチラ見るだけでスティックをかそうとはしなかった。