難しい恋は遠慮させてください

「ありゃりゃ…これじゃ残りのメンバーでくめないね…」

千夏先輩は腕を組んでホワイトボードを見ている。

誰かが他のパートをやらなきゃいけない。

こーゆー時、みんなやりたがらないから誰かが先に動かなきゃいけない。

しょーがない…か…

「千夏先輩!私ドラムやります」

第二候補だ。仕方ない

「いいの?リオちゃんギター弾けるのに…」

「大丈夫です。ドラムは二番目にやりたかったので」

ドラムが一番人気がない。

だから誰かがドラムをやれば、他の人も動くだろう。

「そっか、助かる!頑張ってね」

「はい!」

「リオ…。本当にいいの?あんなにギターやりたがってたのに…」

愛美が心配してくれた。

でも仕方ないじゃん?

私は我慢するからさ!

「いいのっ!ギターできないのより、バンド組めないほうがつまんないじゃん」

「…。」

愛美が前を向いて右手を上げた。

「千夏先輩。私ベースやります!」

「愛美ちゃんも?わかった。これでバンドが組めるよ」

千夏先輩は安心して微笑んだ。

「私もバンド組めないほうがつまんないからさ!」

愛美が笑って私を見た。

「愛美…。アンタいい奴、一緒にがんばろうな!」

私は愛美に抱きついた。