「甘すぎなくて、いいじゃん」 口の中でコロコロ転がしていると、霧崎さんがあたしを見つめているのに気付いた。 「...和花、みたいで」 「え?」 今、和花って言った? 「それ、和花に似てる。 甘いけど、甘すぎないところが」 甘いけど、甘すぎないところ―― これは、まぼろし? そう思ったけど、違う。 口の中の小さな刺激が、あるから。 あたしに向けられた、何となく優しげなやわらかい表情に、ドキドキが止まらない。