「...わり。今出かけてるから」



霧崎さんはチラリとあたしを見た。

でも、すぐに違う方を見る。


そんな小さなことに、いちいちズキリと痛む、あたしの心。




「わかった...、明日。明日ユリん家行くから」



明日...、ユリっていう人に会うんだね...

ユリって人の家に行って...、

そして――――――




視界に入るアスファルト。

自分でも気付かぬうちに、あたしは俯いていた。




目が潤み始めそうになるのをぐっと堪えて、上を向く。


霧崎さんの前では、

態度に表しちゃだめだ。



何も気にしてない......、


そんな表情を、しなくちゃ。