―――――どうした? ユリ?





霧崎さんがあたしのそばで電話をするなんて、初めてで。



確かに、彼が言った″ユリ″という名前。

ついさっきまでの幸せ気分が、ガタ落ちするのがわかる。


だめ、あたし。

傷ついちゃだめだ。



そう思い込みたいのに。


頭に″あの人″の姿が浮かんだ。




この前すれ違った、あの人。

霧崎さんと肩を並べて、笑い合ってたきれいな人。