他の人がいても、 こうしてあたしを抱いてくれるうちは。 あたしのこと、嫌いじゃないよね? プラス思考になってみるのも、いいのかもしれない。 あわよくば、都合の良い女から脱出できるのかもしれない。 諦めたら、それで終わりだから。 うん、何か元気出てきたかも。 つらいとき、 こうして自分を励ましてみるのも悪くない。 「......好き」 一向に目を覚ます気配がない霧崎さんに、小さな声で呟く。 そうして、あたしは目を閉じた。