「...泣いてなんか、ないです」 霧崎さんがどういうつもりで聞いたのかは、あたしには分からないけれど。 霧崎さんのことで泣いたなんて、 たとえ口が裂けても言えない。 言っちゃいけないから。 あたしの強がり。 どうか、伝わらないで。 「今日は、ブルーなんですね」 「...やっぱり、覚えてたんだな」 言いたいことは、すぐにわかった。 やっぱり、あの日あたしに手を差し伸べてくれたのは、霧崎さんだったんだ。 そして、あたしのこと覚えてくれてた。 嬉しくてたまらないのに、切ない。