ふらふらとした視線を、まっすぐ前に定めたとき。 あたしの足は、ピタリと止まった。 無意識にだった。 あたしが見据える先にいるのは、 腕を組み、談笑しながらこちらへと歩いてくる若い男女。 見覚えのある、顔。 ―――なんで? 「......霧崎さん」 擦れた、蚊の鳴くような声でそう呟いた。