「んじゃ、またな」
「...はい」
服を着終えた彼は、ちゅっと軽いキスをして、部屋を出ていった。
やけにバタンとドアの閉まる音が響いて、
ズキリと胸が痛んだ。
別れを告げられた気分になる。
行かないで、って素直に言えたら...
どんなに良いだろう。
まだ霧崎さんのぬくもりが残ったところに寝そべる。
きっともうすぐ、消えてしまう。
もし、
あたしと霧崎さんが恋人同士だったなら。
...多分、霧崎さんはあたしとしたいだけ。
好きだって言われたことも、
名前で呼ばれたこともない。
やばい、泣きそう。
好きだ、って思うと悲しみが増す。
霧崎さんは...
あたしのことどう思ってるんだろう――

