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楓と別れて、真っ直ぐ自分のマンションに帰る。
当たり前だけど、人気のないあたしの部屋。
...なんだか、温度がない。
いつもと変わらない部屋なのに、冷たく感じるのはなんでだろう。
もう、
ここに霧崎さんが来ることはないから、だよね...。
あたしの胸元でキラキラ光ってた、アクアマリンのネックレスも。
時折見せる優しい笑顔も。
あたしが霧崎さんのあぐらの中にすっぽり収まって...
テレビの音だけが流れる心地良いひとときも。
あたしの作ったものを「おいしい」って食べてくれることも。
みんな......なくなった。
あたしが......、手放してしまったんだ。

