久しぶりの街。 この街であたしはこっぴどく振られて、霧崎さんに初めて会ったんだっけ。 もうあの最低最悪男のことなんか、顔も思い出せない。 半年も経ってないのに、すごく前のことに感じてしまう。 「ねぇねぇ。」 いきなり声をかけられて、スーパーに向かう足を止めた。 「あ、やっぱり。和花ちゃんじゃん。」 「え?」 振り向くと、 人懐こい笑顔をした若い男がいて。 ...誰だろう? なんで、あたしの名前知ってるの?