二人とも帰宅するために校門に向かうのに、わざわざ別々に歩くのはおかしいだろう。
俺と先輩は、並んで歩いていた。
「一年生の子が言ってたけど、春休みの課題、すごく多いんでしょう? 数学が、問題集40ページもあるって」
「・・・・あ、はい。多いです」
せっかく高橋先輩が話題を振ってくれているのに、どうして俺はこんな言葉しか返せないんだろう。
もっと話を広げられるような、気の利いたことは言えないんだろうか。
「大変だね。私たちはそこまで多くないのに」
「でも、今年の国立大二次試験の問題が課題になってるから、難しすぎるって須賀先輩が・・・・」
バカ! 俺の馬鹿!
頑張って話を続けようとしたのに、俺は須賀先輩の名前を出してしまった。
まさか俺が、数日前先輩たちにあったことを知っているなんてことは知らないだろうけど、その名前を聞いてなにも思わないはずはないだろう。
どうして俺はこうなんだ・・・・。



