ため息に、哀


休憩中、高橋先輩をちらりと盗み見た。

今日は高い位置で髪をひとつに結んでいる。

毛先まで艶やかにまとまったその髪が揺れて白い首筋が見えるたびに、なぜか身体が熱くなってきて、邪念を振り払うのが大変だった。


校内で先輩に遇うと、たいていその長い髪はそのまま下ろされている。

でも、部活の時はいつも結んでいた。

今日みたいな髪型の時もあれば、2つに結んだり三つ編みをしていることもある。

それが高橋先輩の、部活中とそれ以外のメリハリのような気がして、俺はそんなところまで尊敬している。


まあ、マネージャーといえども常に動きまわっている先輩のことだから、ただ邪魔なだけかもしれないけど。




本当に、いつの間に俺はこんなに高橋先輩のことを好きになっていたんだろう。

最初はただ憧れてるだけだったのに。


憧れと尊敬と、そして恋愛の境界線を、見失っているだけかもしれない。

そう思ったこともあったけど。


やっぱり俺は、高橋先輩のことが――・・・・・



隼人先輩の、集合! という掛け声を合図に、俺はコートの中へ駆け出した。