「誕生日に告白なんて、お前もベタなことするよなー」

「だって三年でクラス違うかもしれないし、もうすぐ部活も引退するし、今しかないって思って」


「いい感じだと思ってたんだけどな、お前と亜美ちゃん」

「そういうこと言われると余計に惨めだし」


沈んだ須賀先輩の声と、茶化すような言い方だけどそれを励ましている隼人先輩。


俺は忘れ物を取りに来たことも忘れて、静かにその場を去った。




頭の中が、少し先も見通せないくらいに混乱していて、どうやって家に帰ったかも覚えていない。

たださっき聞いてしまった話の内容が、ずっと繰り返されていた。



高橋先輩が、須賀先輩を、フった。

須賀先輩が、高橋先輩に、フラれた。

その事実を、俺はどう受け止めればいいんだろう。



一番のライバルである須賀先輩(むこうからしてみれば俺は雑魚キャラ以下)が自爆してくれてラッキー!


そんなふうには、どうしても思えなかった。