コンクリートの階段を駆け上がり、部室の扉を開こうとしたところで俺は、室内に人の気配を感じた。


「じゃあ・・・・の・・・・に?」

「・・・・・で・・・・・・って」


かすかに聞こえてきた声は二人分で、そのどちらにも聞き覚えがあった。

隼人先輩と須賀先輩だ。


俺は思わず扉に耳をつけて、その会話を盗み聞きした。



「で、お前がそんな顔してるってことは」

「うん・・・そういうこと・・・・」


最初の声が隼人先輩で、後の方が須賀先輩だ。




「フラれたわけだ。理由は?」

「言ってくれなかった。でも、今はダメだとかって」


はっきりと聞こえてきたその内容に、俺は驚愕した。



須賀先輩が、フラれた?

誰に?

そんなの一人しかいない、いるはずがない。



高橋先輩に、だ。