どう考えても高橋先輩に一番近い男は須賀先輩だし、高橋先輩が一番気負わずに話しているのも須賀先輩だ。

俺なんかが入っていく隙もない。


「まあ頑張れよ」


面白がっているというわけでもなく同情を含んだ薄の声が、さらに俺の心を沈ませた。



「潤はさ、もう少し先輩を人間扱いした方がいいと思う」

「どういう意味だよ」


俺はちゃんと先輩を人間だと思っている、というかそう思ってなきゃ好きになんてならないし。

むしろ、猛獣みたいだとか言っていた薄の方が、よっぽど人間扱いしてないと思う。

でも、俺がそう言うと薄は否定した。



「潤は高橋先輩のことどうせ、女神みたいに優しいとか天使みたいに綺麗だとか、血統書つきの猫みたいに上品だとか思ってるんだろうけど」


ず、図星・・・・。



「あの人はそんなんじゃない。もっと中身のある人間だよ」


まるで俺が先輩の外側しか見ていないような言い方だったけど、違うとも言い返せない自分が悔しかった。