薄と黒木の絆は深くて、お互いを認めあって高めていける、最高のライバル関係でもあった。

それも今は壊れてしまったんだけど。



あの頃の薄は痛々しくて、思い出すだけで辛くなる。

その出来事にほとんど関係のなかった俺でさえそうなんだから、当事者である薄はどれほどつらい想いを抱えていたんだろう。



結局。

黒木は推薦で東京にあるバスケの名門の私立高校に行き、薄は引く手あまたにも関わらず、この高校の一般入試を受けて合格して入学した。

お世辞にもバスケの強豪校とは言えないこの高校に。


そりゃあ俺は、薄がいることが嬉しかったけど。

中学の時から憧れてたし。

でも、だからこそ、実力を持て余しているような薄の姿は見たくなかった。

先輩たちをも凌ぐ力を持っていながら、いつもつまらなさそうにしているように見えたんだ。