高橋先輩の隣に並んだ薄は、なにか話しかけている。
でも内容はわからない。
読唇術を習得していればよかったと、これほど思ったことはない。
薄は皮肉そうな顔をしてるけど、先輩との会話を楽しんでることは俺にはわかる。
対して高橋先輩も、苦笑しながらも楽しげにしている。
意外な伏兵・・・!
そういえば高橋先輩も、薄に興味を持っているらしい節はあった。
二ヶ月くらい前、俺は先輩に訊かれたんだ。
薄の、中学時代のことについて。
薄はバスケが上手い。
それは学校の中での話だけじゃなかった。
俺の中学には薄の他にも黒木という、とてつもない能力を持ったヤツがいた。
部内のツートップ。
この二人がいたおかげで、俺らのチームは市内大会優勝、地区大会も入賞して県大会に出場することができた。
まあ、俺はベンチでしたけどね。



