午前十時、完璧に準備が整った会議室で、俺たちはなぜか息をひそめて高橋先輩の登場を待っていた。

今日、先輩の誕生日を祝うということは、本人には知らせていないらしい。

つまり、サプライズだ。

ミーティングとでも伝えているんだろうかとも思ったけど、だったらここまで静かに、微動だにせず待機させられる理由はないわけで。


考えていると、部屋の外に人の気配がした。

カチャカチャという金属のような音がした後、静かに扉が開いた。


「せーの!」


柏木先輩の声に続いて。


「ハッピーバースデー!」


クラッカーを鳴らし、声を揃えて。

そこから見えたのは、驚いている高橋先輩の姿だった。


プレゼントを渡されて、零れた涙を拭う仕草。

ありがとう、と嬉しそうに柔らかく微笑む顔。

すべてが俺の胸を熱くさせた。