ショックで身体から力が抜けていくようだった。

あの笑顔も、優しさももう、人のもの。


冬休みなんて短いのに、クリスマスに大晦日に初詣、行事は盛りだくさん。

やたらと男女がくっつきたがる季節でもある。

そうか、そこでうまくいっちゃったんだな・・・・。



出遅れたどころか、スタートラインにも立っていなかった。

俺がまだ靴ひもを結んでいるうちに、須賀先輩は早々とスタートダッシュをしていて、一位のままにゴールテープを切ったんだ。


守りたいなんて誓った数時間前の自分の背中をそっとなでて慰める。

その時すでに遅かったんだよ、残念だな。

まあ、所詮俺だしな、しょうがないよな。



「でも、他のヤツらも一緒だったから二人じゃないって!」


その言葉を聞いた瞬間、俺は優しくさすっていた過去の自分の背中を、思い切り叩いて弾き飛ばした。


部室に安堵のため息が満ちる中、俺は声をかけてから、にやける顔を隠しながらそこを出た。