「あのね、あたしっ…」
「ゆっくりでいいよ。」

「あたし、父親に捨てられたの。それで、残された母親と2人で暮らしてた。」

先生はそっか、と言って目を伏せた。

「それで、母親はやけ酒するようになってあたしに当たるようになった。
今では少し落ち着いて
邪魔者扱いですんでるって感じかな…。」


先生は、顔をあげない。
そして何も言わない。


「っ、引いたでしょっ?
こんな子担当だと嫌でしょ…?」


「そんなことないよ。
ただ驚いて、そんな大変だって知らなくて
連絡取らせたりして
ごめんな…。」

「別に先生が謝ることじゃないよ。
ただあたしが弱いだけ。
…ただそれだけ。」

そう言うと、先生は悲しそうな顔をして
じっとこっちを見ていた。
そして気がつくと私は
先生の腕の中にいた。


「別に、強くなくていい
俺の前だけは、我慢しないでほしい。
弱いところでもなんでも見せてほしい…。」

「てか、これ絶対だから
!約束できる?」








あたしは首を縦にふっていた。



「うん…っ!」