まさか、この被告人が8年前の強盗殺人犯だとは思わなかったのだろう。

「これは、ビックニュースだ」

とか、大騒ぎしている。

検察官も弁護士もびっくりしている。

調書にも書いていないのだろう。

「それは、事実ですね?」

私は、頷いた。

「終わります」

検察官が座り、裁判長が浅く頷くと弁護士の方に向いた。

「弁護士からは、何かありますか?」

「質問はありません。ですが、8年前の強盗殺人事件についてはずいぶん時間がたっているので証言をうのみにするのはどうかと。確実に被告人が8年前の強盗殺人犯だとわかるまではこの話題は避けていただきたいです」

確かに、8年前で私はまだ9歳だった。

うのみにするわけにはいかないだろう。

また、裁判に呼ばれるのかもな。