そんな伊勢谷がイキイキして見えた。

自分もこんな、前向きな性格が良かったな、って、今さらだけど思う。

伊勢谷がイキイキして見えたし、暖かいと思った。

ちゃんと、温もりがあるな、って。

前向きに生きていきたいから、義父さんのところに行こう、と思って、何回か実行に移してみたが、やはりダメだった。

この、臆病者、と何回も思った。

自分は、やっぱり弱いのだ、と。

このことを相談しようと、伊勢谷にしようとしたが、こちらでも臆病者な私。

未だに伊勢谷に言えてない。

「おい、なんか落ちたぞ」

伊勢谷の一言で現実に引き戻される。

伊勢谷の指す先には、さっき先生から受け取った東京地検からの手紙だった。

「あ、うん」