いつまでも君を見ている

「……」

一通り私の過去を行く伊勢谷に話し終えて無言になる。

「ごめん。いやなこと思い出させて」

「ううん。過去には、蓋してないから。忘れようとはしてないの」

「…どうして?」

「私が忘れたら、私の中のお母さんとお父さんが死んじゃうから」

「そっか」

過去に背を向けたりしても、なんの意味もない。

そう思ったりもした。

でも、あえてそれは口に出さなかった。

理由は、わかんないけど。

「…ごめんね。私のせいで怪我させちゃって」

私があそこにいなければ、みんな怪我をせずに済んだ。

なのに、私があそこにいたから、みんなに怪我をさせた。

本当に、ごめんなさい。

「……篠田のせいじゃないだろ」