いつまでも君を見ている

赤いものは、幻覚だよね?

そっとお母さんを抱き上げる。

……まだ、温もりはあった。

けど、力なく、腕は下がっていた。

ずっと抱いてたら、温もりは消えていって。

頭の中は、真っ白。

なにも、考えられない。

でも、これだけ。

……お母さんが死んだ。

あの男に、殺された。

それだけわかった。

ガサッと物音がして、体が異様に反応する。

お父さんが、動いて電話をかけた。

「……妻が、殺されました。強盗です。住所は……」

お父さんの行動を、私はただ見ていただけだった。