初めて信じたのは「音楽」だった。

音楽に嘘はなかった。

その音を奏でれば、そのとおりに奏でるから。

楽器に、嘘はないと、信じていた。



………大好きな音楽を聞いてるときが幸せ。


奏でるときも幸せ。


どちらにしても幸せだけど、自分の音を聞くのはもっと幸せ。


慣れてないときでも、自分の音を聞くのが、幸せだった。

だって、「自分」になれている証拠のようだったから。





  無数の星 ちりばめて

  夜空輝かせた

  自分を見つける
 
  力無くしたから


  こうしていたら

  見ていられた

  「自分」をずっと

  このときだけ

  真剣に見つめられていた
 
  気が したんだ


  …ねぇ?いつかきっと

  こんなことしなくても
 
  「自分」を見れる日が

  来るはずだよね?きっと

  大好きなこと

  幸せと感じる 一瞬

  どんなにつらくなっても

  忘れない……… melody…




スゥ………



喉が痛い。だけど、スカッとして気持ちいい………



 こんな感じで、路上で歌ってるけど、客なんてこない。

分かってる。分かってるんだけど、私はそんなの気にしない。


だって、別に客を呼ぶために、歌ってるんじゃないから……



そう思っていた瞬間だった。




     「いいですね」


という、声とともに、拍手が耳に入ってきた。