「それ、反則じゃん…アリス」
「え、何?」
俯いていたわたしは顔を上げた。
少し顔が赤いショウが、わたしの肩に両手をおく。
いつもの優しい瞳なのに、切なさをおびている。
…もしかしてショウ、熱がある!?
「ごめん、気が付かなかなかったよ!熱があるの?大丈夫?」
ショウのおでこに手を伸ばしたけれど
彼は無言で、わたしの手を簡単にとらえた。
「隙あり。ていうか、隙がありすぎ」
「ショウ?」
「学園で俺を頼るときは、男として頼って」
「え?」
「学園の男子生徒には隙を見せんな。とくに他の種族の王子には」
「あの、話が見えな…」
わたしの言葉を遮るように、ショウはそのままわたしを引き寄せた。
「もう時間がない。敵が来る前に、飛ぶよ」
敵…?
ショウ、それっていったいどういうこと?
わたしが口を開く前に、ショウの背中に翼が現れた。
真白に輝く大きな翼。
その翼がはためいたと思った途端、わたしの足が地面から離れた。
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