「れーーーんっっ」


思い返せばあたしは昔から一体何万―いや、何億回この名前を呼んだんだろう。

教室のみんなは「やれやれ」といった顔であたしたちをみている。


「あたしの500円かえしてよお!今日ご飯抜きになっちゃうじゃん!」


「おあいにくさまだなあ、俺もこの500円がないとお昼食べれないんだよ」


今どんな状況かって?

あたしもよくわかんないよっ。

このバカ廉が"あたしの"500円を天高らかにあげてあたしがとれないようにしているのです。


本当ひどいよね。あたしのなんだよっ。

……まぁたしかに昨日300円借りたけど今日は財布忘れちゃったんだよね。


で、たまたまあたしのポケットにあれが入ってたって訳。


あれがないと本当に今日お昼抜きになっちゃうよ。