「…おはようございます、ご主人様っ♪
早く起きないとぉ、クナがキッ…キス…っ、しちゃいますよお…!
だから、早く…」

「…キス、して欲しいけどな。
でも遅刻するから起きないと…」
独り言を呟きながらのろのろと身体を起こす。あ、ついでにさっきのは目覚まし時計である。クナは人気ゲームのヒロインの一人。



「−…あら、おはよう、洸。ご飯できてるわよ」
着替えを済ませて一階のリビングに降りると、母さんが台所に立っていた。食卓に乗るトーストの香ばしい匂いでお腹が鳴ってしまう。
いただきます、手を合わせてトーストをかじる。
…何も変わらない、いつもの風景。

「洸、今日から二年生ね。
勉強も頑張るのよ」
母さんが俺の向かいに腰を下ろしてトーストをかじる。俺はその後も適当に相槌を打ちつつ、朝食を完食した。