ヤバイ!!
……ヤバイヤバイヤバイ…!!!
どうして?どうしてなの?
ここはおばあちゃんの家!!となり町!!
なのに…なのにどうして絵理がいるの!?
羅斗には少し失礼だったかもだけど…。
それどころではいられない。
絶対に…目が、あった。
あたしは走った。持久力にはあまり自信がなかったけれど息が苦しくなるまで走った。

『理子ぉっ♪』
声で分かった。
『やぁっぱ理子だぁ。そんなに急いでぇどこに行くのぉ??』
『あ…。』 
『さっきまで楽しく男の子といたじゃない?』
いきなり口調、声のトーンが変わった。
怖い。

絵理。
あたしが一番憎んでいる女。

『じゃ、じゃああたし急いでるからもう、行きます…。』
『理子ぉ…なんでぇけーご使うのぉ??うちら親友じゃぁん』
『え?』
『嘘に決まってるだろばーか。顔がきめぇんだよブス。』
また人が変わった。
絵理はいわゆる二重人格ってやつなのかもしれない。
かわいいと思ったら大間違いで。
口が悪い。
一言で言えばサイテーな女。
あたしはずっと切なく転がっている石を見つめながらうつむいていた。
雨がすごく降っている。
イロイロな人が様々な色の傘を差して横切るのに、あたしにとっては絵理のピンク色の
傘とあたしの黄色の傘しか見えなかった。
というか、見る余裕などどこにもなかった。
『えへへ♪じゃあもう行くねぇ♪』
やっと…この重い空気から、解放される。
――彼女の名前は杉乃絵理。
顔は上品で整っている方なのだが、性格がすごく悪い。
あたしはそんなことなど知るわけもなかった。