一つだけ、羅斗には秘密にしているコトがあった。
それは…
アタシガイヂメラレテイルコト。
本当は言いたかった。
全て言ってしまって相談にのってもらいたかった。
しかし、あたしの指は止まるのだ。
もし、引かれたらどうしようもない。
しかも、羅斗だって同じ様なことに合っているコトをあたしは知ってしまっているのだ。

あたしにはどうしようも無かったのだ―。
だから、あたしのしたことは、あたしがいぢめられていることを黙っているコトは間違っていないのだ。

今は、羅斗のいじめの件を考えてあげなければ。
そう思っている。
だが、しかし、どうしたらいいのだろう。
というか今思うと羅斗のいぢめのコトをあたしは全然知らない。
あの、初めて羅斗と会った歩道橋以来いぢめの話は一切聞いていない。
どうして、自殺したのか、どうしてあんなに叫んでいたのか、そんなことなどあたしは一つも知らなかったのだ。

聞こう、聞いて相談にのろう。
きっと、羅斗もあたしと同じですごく苦しいはず。
何羅斗に甘えようとしているんだ、あたし。
もっと強くなろう。
強くなって羅斗を守ろう。
そう、決めた6月だった―。