しばらくすると

キュ キュ キュ
というスリッパの音が自分の病室に近づいてきた。



“あら?起きてたの?“

母親だった


私は母親が嫌いだ



自分には父親はいなく
小さい頃から母親とふたりっきりで暮らしてきた。

そして私は今の今まで母親の笑顔を見たことがない。


いや。笑ってはいるのだが、、




目が、、笑っていない





私はその母親の不気味な笑顔を見るたび不安と恐怖でたまらなくなった。



私が母親を嫌う理由はそんな事ではないのだ


そう、私の担当の医師と母親がどうゆう関係か知るまでは大好きな自慢の母親だったのに、、







これは私が6歳の頃の記憶。


“ママア、おしっこ”
暗い病室 隣で寝ているはずの母親の姿がない。


仕方なしにブカブカのスリッパを履いて
1人で廊下に出た。


真っ暗な廊下、 前方にやや灯りがついている部屋がある


一歩二歩とその部屋に近づいて行った


そこで私が見たものとは
担当の医師と母親の体を絡め合う光景


言葉にならず即座に病室に戻った








そんなこんなで私は母親が嫌いだ。









夜20時になり面会時間が終了し、母親が帰っていった。
私はどうやら2、3日入院のようだ。


私の病室には私を含め、2人、、

隣のベッドにもう1人の患者がいるようだ

昼間も気付かなかったが、ずっとカーテンを閉めているのでまだ顔を見ていない。

”まあ、いいか”



チクタクチクタク

テレビもつまらなくて消した

そろそろ寝ようかな



ん?



なんだろ、、なんか落ち着かない


不安でたまらない


その日は布団を被ってすぐに寝た


次の日やはり隣のベッドはカーテンを閉めた状態だった。