「……そんなにおかしいですか?」




そう問うと、彼は無邪気な子供のように頷いた。




先ほどまで邪気にまみれた笑顔を浮かべていた彼と同じ人間とは思えない。




「だって、こんなに冷静な奴は初めて見た。大抵俺の素性を知ると発狂したり絶望したり……

大の大人が縋りついて命乞いするんだよ。可笑しいだろ?」




「どんな時でも冷静なところは私の唯一の長所ですから」




同時に短所でもあるのだけれど。




友達からは体育祭や学園祭などの一大イベントの席でも異常にテンションが低いという定評を戴いた。




しかしそんなことは男の知ったことではない。