背後でなにやら準備を始める殺し屋に意識を集中する。




するとそれに気付いたのか、男の手の力が強まった。




「悪いね。こんなか弱い少女を殺してほしいなんて依頼は少ないんだけど。

君、そんなに人の恨みを買うようなことしてるの?」




くつくつと喉の奥で笑いながらも、決して力を緩和させようとはしない。




彼の警戒に値する人間だということか?




欠片も名誉に思えないのは、私が偏屈だからだろう。




ふと、頭上ではまだ笑いが続いていることに気が付き、意識を彼に戻す。




訝しげに振り返ると、男はやはり未だに笑みをこぼしていた。