ごくりと生唾を呑み下し、ゆっくり男に近付く。 よく見れば若い男だ。 容姿端麗・眉目秀麗を絵にかいたような美形。 まぁ、だからなんだという話でもないが。 「あの……お部屋を間違えてませんか?」 取りあえず丁寧な物腰で声を掛けてみる。 と言っても、私は常日頃から敬語を使っているため意識してのことではない。 あくまで丁寧な口調で話しかけたのだ。