「穹ぁ」 「酒臭いですよ。どれだけ飲んだんですか」 背後から張り付いてきた藍を剥がして、顔をしかめる。 不自由ない生活の代償は彼の世話といったところか。 「もう寝てください。二日酔いが三日酔いになりますよ」 「別にいいよ。だって穹が看病してくれるしね」 そう言って猫のように擦り寄ってくる。 顔だけはいいが、こうなってしまっては色男も台無しだ。 彼の体裁を守るためにも、少し強引に寝かしつける必要がある。