「えーっと…私ね、さっき見られちゃったように実は人魚なの。」


「人…魚…」


「うん。海深くには、人魚の国があるんだけど、私はその国の第一王女。

王家のしきたりで16歳になったら人間界に1週間だけ留学するの。

その時に、留学する学校にいる生徒には私が元からいるように催眠術をかけるの。」


「え…でも…」


「そう、海野君だけはかからなかった。

他の皆は、学年全員の顔と名前を知ってるってことがなかったから、すんなりかかってくれたし、ごまかせた。

けど海野君は全員の顔と名前を把握しきれていたから、ごまかすことはできなかった。

そして、私の存在を知らないことに違和感をおぼえてあんな質問をした。」