「お前が泣いたの見た瞬間さ、すっげー悪いことした気分だった」
「でも、喧嘩吹っ掛けたの私だし。それに泣いたって言っても大泣きじゃないし」
「…泣いたの覚えてんじゃん」
「そりゃあ、忘れないけど忘れたいのー」
「あっそ。てか、大泣きじゃなくて、なんか物凄く堪えながら泣くんだよ、お前。余計罪悪感倍増だっつーの」
頭をぽんぽんと撫でられる。
そういえば、喧嘩して泣いた後も煉は頭を撫でたっけ。
どうしていいか分からない、と顔に書きながらおっかなびっくり私に触れてきたなー…
今はもう慣れた手つきで撫でられる。それがまた嬉しいけど、悲しいんだよね。
そんだけ長い年月、煉の隣にいるけど、そんだけ長い年月ずっと家族愛を貫いてるんだよ。
「…美姫、やっぱ何かあったろ」
「なんもないよ」
「嘘だろ。お前、泣きそうな顔してる」
私の気持ち気付かないくせにそういう所だけ悟いのが憎いよ、煉。



