「幼なじみ、だもんね」
「…どうかしたのか」
「うーうん、特に何も。ただ幼なじみってのはどこまで通用するのかなって」
「は?」
「今は煉も私もお互いが1番だけど、恋人出来たらそっちが優先になるよね?」
今の煉の1番は私だって胸を張って言えるのは私が1番近くにいる“幼なじみ”だから。
家族愛に近い私たちは隣にいるのが当たり前だと育ってきたんだよね。
でも、私たちは“幼なじみ”なだけで不確かなつながりなんだよなあ…
こんな事を考えるのは幸せそうな婚約者たちを2組も見た後で、蓋をしていた心が開きかかってるから。
ずいぶん昔に、仕舞いこんだ、煉に対する心。
「美姫?」
「あ…、―――なんでもない。ごめん、ちょっと疲れてるみたい」
たまに出てくるこの気持ちを再び心に戻さないと。



