とりあえず梓をたくさん拗ねさせてあげる間に煉にメールをする。
そっちはどう?って一言だけなのは梓の話を大地に伝えるか微妙だから。
「それで梓は“ただの婚約者だから”って言ってたのね」
「だって悔しいじゃない。隠し事された上にそんな事言われたのよ」
「…隠し事はそのうち判ると思うけどね」
「美姫、知ってるの!?」
「知ってるっていうか、予想がつくっていうか」
だって今は5月の終わり。
遠足を終えてから2週間後にある修学旅行の初日は、梓の誕生日だもん。
婚約した年の相手の誕生日には特別な物を用意したいんだろうな、って予想は簡単につくし。
大地は梓にバレないようにしたいんだろうけど、なあ…
ちょっとくらい教えてあげてもいいよね?
「ヒントね。来月は何月?」
「…6月?」
「そう。で、梓たちは婚約した年」
「ええ」
「来月の第2週にある修学旅行の2日目は何日で何の日?」
「2日目?…あっ、」
手帳を開いた梓はちゃんとヒントを理解したみたい。



