「はあーっ、疲れた…」

「お疲れ様、美姫ちゃん」

「芽衣もね」


放課後、HRもそこそこに私たちは急いで寮に避難した。

男女それぞれ別れた寮に入ってしまえばもう誘われる事はない。


「煉たちずるい…」

「こればっかりは仕方ないわよ」


梓と芽衣の部屋に押し掛けて寛ぐ。


「だって煉たちも確かに誘われてたけど、私たちの半分くらいじゃん!」

「だから、普通男子から誘うものでしょう?女の子からはかなり勇気いるもの。そうしたら私たちの方が多いに決まってるじゃない」


そう。今日誘われてる数が圧倒的に私たち3人の方が多い。

必然的に断る回数と知らない生徒に関わる回数が多くなり、煉たちよりも疲れる。


「美姫は猫被ってるから余計よね」

「だって仕方ないじゃん」


いつまでも悪態をつく私に梓はでこぴんをしてからマグカップを渡してきた。


「珍しい、ホットチョコレートだ…梓はいつもコーヒーかお茶だと思ってた」

「芽衣がコーヒー飲めないから、最近はそうでもなくなってきたんだけどね」

「ブラックが苦手なだけだもん…」