「よく、気付いたね」
自分だって気付かなかったのに。
「お前、昔っから風邪引くとやたら笑顔になんだよなあ」
「…そんなに笑ってた?」
確かに今日はずっと愛想笑いは浮かべてたけれど、それは意識してのことだ。
「あー、幼い笑い方すんだよ、美姫。普段より子供っぽい顔すっから」
「えー」
そんな顔してないって言おうとしたら、してたからなって先に言われる。
「ま、昔からのお前を知ってる俺じゃなきゃ気付かないくらいだから心配しなくても周りは気付いてねーよ」
ほら寝ろ、と言われて布団をかぶる。
俺じゃなきゃ分からない、なんて言われて紅くなった頬を隠すように深くかぶった。



