「何故それを今、私に教えてしまうのですか」

「それがフェアなやり方でしょう」

「美姫さんは、煉さまを…」

「好きよ。でも私は伝えることは出来ないの。この立場で、この近さは足枷でもあるの」


煉に声をかけられたので内緒話はここで終わり。

黒木さんの背中を押して、笑顔で送り出す。


「美姫さん」

「なあに?」

「本当に申し訳ありませんでした」

「…うん」


煉と黒木さんが玄関をあとにしたのを見届けてから、ソファに沈む。


「私は、勝てたのかな」


少なくとも嫌がらせには打ち勝った。

煉に対する気持ちも負けてない。

ただ、私は煉の幼なじみであり相方でそれ以下でも以上でもないことを自分の言葉で認識した。