「私は煉の側にいるだけが仕事じゃないの。貴女たちの保護者の方から貴女たちをお預かりしている立場でもあるの」


送るのは私の責任なの。でも私と帰るのは嫌でしょう。

と続ければ、黒木さんは黙って頷いた。


「煉を呼んでくるわ」

「…ありがとうございます」


煉を呼んで送ることを伝える。


「黒木さん、確かに貴女がしたことは間違っていたけれど、煉に気持ちを伝えることは誰も邪魔出来ないわ」


小声で耳打ちすると黒木さんは驚きの様子を見せる。


「好きな気持ちは伝えた方がいいわ。…私たちね、本当は恋仲なんかじゃないの」

「ならっ!なんで」

「お互いにくる周りからの誘いを断る、減らす口実が必要だったの」


梓や芽衣のは本当よ、と付け足すのは忘れない。