「悠馬、歓迎会の時笑ってたでしょ。見てたよ」
「やだな、梓ちゃん見てたの?だって煉の回答が楽しくてさ」
「あ、このパウンドケーキ美味しいね」
「やっぱり?美姫ちゃん好きそうだと思ったんだよね。なんて言ったって…」
「うちのお店の新メニューだもの」
「…という訳さ」
「ああ、芽衣の家のなのか。確かに美姫が好きそうだな」
煉が私のお皿からひと切れパウンドケーキを口に放るのを睨みつつ、私の斜め前に座るブロンドのふんわりロングヘアの女の子を見る。
彼女は間宮芽衣。日本各地にカフェを経営していて、お母さんが有名なパティシエ。芽衣の作るお菓子は絶品。
「芽衣ん家の新作なら私の好みなのは当たり前か。芽衣のお菓子大好きだもん」
「だから太るんだろ」
「うっさいよ、煉」
「ねぇ、美姫ちゃん。このパウンドケーキに足すならどんな生クリームがいいかな」
「芽衣の考えたのならなんでもいいと思うけどなあ」
でもラズベリーのクリームっていいかも、と言うと芽衣はパアアと効果音が聴こえるくらいの勢いで笑顔を浮かべ、試してみるね!とメモをしていた。
相変わらずお菓子に関しての向上心が凄いと思う。



