「煉、起きて!遅刻!」


声だけじゃ直ぐには起きないなんて百も承知だから、肩を大きく揺する。

それでも煉は半分しか覚醒しない。


「…ん、美姫?」

「煉、起きて。あと20分ちょっとで支度して出るよ」

「…なんで」

「遅刻!アラームはなんでかわかんないけど、鳴らなかったみたい!はい、急ぐ!」


朝ごはんは車で食べれるのにするから、5分後にリビング来て。と言い残してパタパタとキッチンに駆け込む。

鍋に水と卵を入れてゆで卵を作る間に手早く身支度を整えて。

昨日のうちに手持ちの荷物も用意しておいて良かった、と安堵しつつキッチンに戻って食パンを取り出す。


「おはよ」


寝ぼけ気味に、だけどしっかり着替えた煉は慌てる様子もない。

男女の支度の差と、料理するか否かの差。