ベッドに潜り込んでから、たぶん30分くらいが経って。 ノック音のあとに入ってきたのは確認するまでもなく煉。 寝たフリしようかな… 「寝たフリなんざ通用しないからな。電気つけっぱなしで寝れないくせに」 …駄目か。 身体的疲労に加えての精神的疲労でいつもより重く感じる上半身を起こす。 「どうしたの」 「柚子茶煎れたから飲めば?」 ちゃんと砂糖も入ってる、と言われて赤いマグカップを受け取ると大好きな柚子の薫りが広がって。 狡いよなあ、と呟く。