「あくまで、私たちは幼なじみです。お互いが特別なのに変わりありません。しかし、異性としてのお付き合いはありません」

「この学園のトップに立たせて頂いている私たち2人がそういった関係では皆さまの学園生活の支障が出る恐れもあります」


ですからそのような関係はございません、と言えば何人かが顔を喜ばせているのが分かる。

たぶん、煉が好きな女の子たちや…私を好きになってくれた人たちだろう。

王姫になってから告白の数は増えに増えた。だから今の私たちの台詞に喜び、告白やアピールを考える人がたくさんいるのだろう。

煉はともかく、私は特別可愛い訳ではないけど“姫”という立場はとても魅力的なんだろうなあ。

少し考えていると、質問者の女の子は間をあけてからもう1つ質問してきた。


≪なら、お二方に恋人が出来る可能性はあるのですね?≫


それは、私が煉の彼女になれる可能性があるんですよね、とでも言いたげな強い質問だった。

煉は少し呆気に取られていたが、すぐに答えた。


「ええ、そういった事も今後あり得るかもしれません。…けれど、側にいた美姫が私の基準ですから美姫以上の方となら、という事になりますね」


さらり、と言葉を付け足す煉に私は赤面しそうになる。なんとまあ、口から出任せでそんな恥ずかしい事を言えるもんね。

ホールを見れば何人かはうなだれている。

いやいやいや、私以上って結構ラクだからね?ただ姫って称号を持ってるだけで貴方たちみたいなお嬢様でもなんでもないですから!

心の中で叫んでも彼女たちに届く訳もなく。

…新入生歓迎会は煉の恥ずかしい台詞で幕を閉じるのです。